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インタビュー

【『道を継ぐ』刊行記念対談】人生に迷ったらカリスマ女性美容師に聞け! VeLO赤松美和さん(後編)〜不平等な人生で「自分の居場所」をつくる〜

49歳でその生涯を閉じた伝説の美容師・鈴木三枝子さんを描いた『道を継ぐ』(アタシ社)が「私もこんな風に生きたい!」「女友達みんなに読ませたい!」と大反響。なぜいま、女性美容師の生き方がこれほどまで一般の女性に支持を受けているのでしょうか。『道を継ぐ』の著者の佐藤友美さんと、カリスマ的人気を誇る女性美容師さんの対談連載です。

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【後編】不平等な人生で「自分の居場所」をつくる

「判断基準は面白いか、面白くないかだけ」「違いがあってぶつかるから楽しい」と話してくれた、VeLOの赤松美和さん。後編は、仕事に悩める女性に、赤松さん流の切れ味のいいアドバイスをもらいました。(前編の記事はこちら

「思い込み」が、女性の悩みを深くしている

「文通」が教えてくれた女性の悩みは、この2つ

佐藤:赤松さんは、全国で「美容師女子会」を開催されていますよね。開催前に参加者と文通をして、あらかじめ悩みを聞くと伺ったのですが?

赤松:そうなんです。毎回50~60人ほど参加してくださいますが、悩みは大きく2つに分けられます。まず1つはまだ直面していない結婚や出産後の自分の将来に対する悩み。彼氏がいないうちから「結婚したら仕事はどうしよう」って悩んでる女性って多いんですね。

佐藤:そういう悩みに赤松さんが、どうアドバイスしているのか気になります。

赤松:まず「そもそも結婚や出産って、絶対しなきゃいけないの?」ってところから話します。もちろん本人が望んでいるならいいのだけど、「結婚するのが普通だと思っていて…」と、世間の声を自分の希望だと思い込んでしまっている人がずいぶん多い。

佐藤:そういうとき、赤松さんは?

赤松:人と比べるのはやめようよ、と伝えます。自分と他人を比べて人に合わせるよりも、自分がどうしたいかを優先したほうが絶対にいい。

赤松:人生の最高のパートナーだと思える人に出会った時に仕事もしていたいと思うのなら、その方法を考えればいいと思う。もしかしたらそれが50歳になってからかもしれない。人は人、自分は自分、と考えられることがまず大事。

「人を従えなきゃ」という思い込みを捨てる

佐藤:もう1つのお悩みはどんなことですか?

赤松:男性の同僚や部下にどう接するかという悩みです。

佐藤:まさに働く女性の共通の悩みですね。女性の管理職は美容院に限らず増えていますし。

赤松:でもこれも「管理職はこうあらねば」と思い込むから起こる悩みなんですよね。店長だからって、別に下を従わせる必要はないし、男性と張り合う必要もないと思うんです。

佐藤:確かにそうですね。男性と張り合わずにスタッフとうまくやっていくコツってあるんでしょうか?

赤松:人それぞれだとは思いますが、男性に対しては、すべて指示するのではなく、「ちょっとハードルの高い課題」を与えて頼ると頑張ってくれるよと伝えています。
逆に女性は、自由にさせてあげた方が頑張れる子が多い気がします。

佐藤:「自分は頑張っているけれど、下がついてきてくれない」という人にはどうアドバイスをしますか?

赤松:ああ、もう、その発想が一番嫌い!どうして自分“だけ”が頑張っているって思い込むんだろう。

頑張り方は人それぞれ。自分基準で考えない

赤松:あなたからは頑張って見えなかったとしても、相手は相手なりに、あなたができないことをちゃんとやっていることもあったりするんですよね。見方が違うだけ。

佐藤:なるほど。そういうふうに考えてみたこと、なかったかも。

赤松:例えば美容師でいえば、売り上げが高いかどうかはただの特徴でしかなくて、偉いわけじゃない。売り上げが低くても会社にとって大切なことを役割分担してくれる人もいます。電球が切れていたら一番に気がついて替えてくれる人は、売上が高いことと同じくらい価値があることだと思うんです。

失敗の経験値を上げたほうが、面白い人になれる

佐藤:VeLOのスタッフさんから相談を持ちかけられることもあります?

赤松:いっぱいありますよ〜。
実は、サロンの隅っこに「美和の部屋」という小部屋があるんです。そこに「今、いいですか?」って、入れ替わり立ち替わりやってきます(笑)。
仕事の相談もあるし、恋愛相談もありますね。

佐藤:そういうとき、どんな話をするんですか?

赤松:仕事のミスや失恋で落ち込んでるなら、失敗をたくさんして、経験値を上げたほうが面白い人になるよという話をよくします。失恋した分、いい女になるよって(笑)。

「でも」を使用禁止にして「普通」を脱する

佐藤:でも、失敗をいっぱいしたほうがいいと言われても、ちょっと怖いです(笑)。

赤松:そういう人に対しては「『でも』という言葉、今日から禁止」と言います。

佐藤:あ、私のことだ(笑)。

赤松:やりたいことがあるのに、「でもお金がない」「でも時間がない」という人は多いんですよね。だからまず「でも」を封印して、とりあえずやってみなよ、って。
失敗しない道を行く人は、普通の人にしかならないから。最終的に面白い人間になったもん勝ちだよって。

あなたの居場所は「それまでにやってきたこと」で決まる

「応援してもらえる人」になる

佐藤:先ほど役割分担の話が出ましたが、自分の役割や居場所って、誰もが最初から与えられるわけではないですよね。どのように獲得していけばいいでしょうか。

赤松:「自分の居場所」とはつまり「自分がハッピーで楽しく生きられる」ストレスフリーな場所だと思います。でも、それを手に入れるためには、周りから応援してもらえる自分でなくてはいけないですよね。

佐藤:応援される人、されない人の違いは?

赤松:応援してもらえない人は、裏表がある人。特に美容師は人と対峙する仕事なので、自分本位な人はお客さまからもスタッフからも応援されませんよね。あとは、さぼっていた人にも居場所はない。そこは、ある意味平等だと思います。

人は「不平等になる権利」を平等に持っている

佐藤:「平等」といえば、鈴木さん(注:『道を継ぐ』の主人公)の名言がありました。 「自分と他のスタッフが平等に扱ってもらえず損をしている」という相談に対して、「人間は平等だというけれど、それは違う。『不平等になる権利』を平等に持っているだけだ」と言うシーンです。

赤松:よく、わかります。もしその人が本当に不平等に扱われていたとしたら、それは自分が今まで過ごしてきた時間の結果がそうさせているのかもしれません。

佐藤:人のせいではない、ということですよね。
自分の居場所を自分で作る権利は全員に平等に与えられているけれど、努力しなかった人に対して、努力した人と同じような心地よい居場所が与えられないのは当然だ、と。

赤松:そう。自分を必要としてくれる誰かがいない限り、自分の居場所はできないんです。

ヘッドッマッサージは「トリートメント」のときに

佐藤:最後に、赤松さんに美しく生きるための秘訣をお聞きしたいと思っています。赤松さん、ものすごくキレイなスーパーロングですよね。どうやってキープしてるんですか?

赤松:シャンプーとトリートメント、それにドライヤーをいいもの使うってだけです。そこはプロなので。

佐藤:それだけでこんなにきれいに伸ばせるものなんですか?

赤松:あと、ヘッドマッサージ!
トリートメントするときに5分くらいかけて、上に上に持ち上げるように指圧してやっています。やった日とやらなかった日の違いが明らかにわかるくらい、次の日、顔がシュッと持ち上がるんですよね。

佐藤:いいことを聞きました。やってみます!

ときめきと「ちょっとの工夫」でセンスは磨かれる

佐藤:ファッションについても伺っていいですか。この間もある記事で赤松さんのInstagramが特集されていましたが、毎日お洋服のコーディネートをアップされていますよね。

赤松:取材にきた記者さんに「やっぱり、セルフブランディングや集客の一環ですか?」って聞かれたんだけど、まったくそんなこと考えてもいなかった(笑)。
単に写真が好きなんです。どこを切り取ったら素敵かなって考えると、ときめくんですよね。だからやっているだけなんです。

佐藤:私、「赤松さん、今日はどんな服だろう」って、毎日楽しみにしてます。

赤松:そうそう。なんとなく、毎日違うコーデにしようって思っていて。

佐藤:あ、やっぱりそうですよね。

赤松:誰に頼まれたわけでもないんだけれど、「ちょっと工夫する」のが好きなんですよね。
私、人間の財産って想像力だと思うんです。どんな作業も作業としてやってるとつまらないけれど、工夫をすると楽しくなるし、昨日より一歩前進する。

佐藤:そういうところでセンスって磨かれていくんでしょうね。

赤松:自分がときめくことをやってみること。そして想像力を使って工夫すること。その2つで、センスも磨かれていくと思います。

佐藤:赤松さん、今日はありがとうございました。

対談を終えて

赤松さんのような底抜けに明るくてエネルギー値の高い人に惹かれます。だから対談中に「私の人生をすぽっと誰かにかぶせたら、その人は耐えられないかもしれないくらいの苦労もしてきた」という赤松さんの言葉にハッとしました。どんな経験もふわっと内包して、それでもやっぱり底抜けに明るく人にパワーを与える方なんだなあと思うと、前よりもっと大好きになりました!赤松さん、ありがとうございました。(佐藤友美)


撮影/中村彰男

プロフィール

赤松美和(あかまつ・みわ)

VeLOディレクター。44歳の若さで死去したDADA CuBiC植村隆博氏に師事、その後夫の鳥羽直泰さんとともにVeLOを立ち上げた。日本を代表する女性デザイナーとして、業界誌・広告などの撮影やヘアショー、セミナーなど幅広く活躍している。カットのこだわりは「再現性」、シンプルな中にさらっとエッジを効かせたスタイルに、多くの支持を集めている。

佐藤友美(さとう・ゆみ)

日本初のヘアライター&エディター。ファッション誌やヘアカタログの「髪を変えて変身する企画」で撮影したスタイル数は4万人分を超える。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、セミナーや講演を聞いた美容師はのべ2万人を超え、これは全国の美容師の20人に1人の割合にあたる。著書に7万部突破のベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、発売即重版となった『道を継ぐ』(アタシ社)などがある。

『道を継ぐ』とは?

49歳でスキルス胃がんによってその生涯を閉じた伝説の美容師・鈴木三枝子を描いたノンフィクション。今なお人々の心に残り、動かし続ける彼女のメッセージとはどのようなものなのか。1年半の歳月をかけ、191人の関係者に取材を敢行した先にたどり着いた「答え」は、働く女性にとって、強く心に響くものがある。「働き方・生き方を見直すきっかけになった」と、年代・世代を超えて感想が寄せられており、業界を超えて大きな反響を巻き起こしている。

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